公認会計士を目指すときには、まず独学か予備校かを決めなければなりません。
しかし、独学での合格は非常に難しいことが分かっているため、ほとんどの方は予備校を選択します。
次に、どの予備校を選ぶか、ということになりますが、選ぶ決め手の一つに合格率があります。
今回は、高コスパが特徴のLEC公認会計士講座を受けた人の合格率が実際どの程度なのか、を予想してみます。
LEC公認会計士講座の合格率は公開されていない
LECの正式名称は「LEC東京リーガルマインド」であり、名前からも分かるように法律系資格の受験予備校として有名です。
1979年に司法試験の受験指導機関として創立されましたが、会計系資格の公認会計士講座が開講されたのは2003年のことなので、後発講座ということになります。
後発であるがゆえに、どのようにして受講者を増やしていくかという戦略はしっかりと考えているようで、安い受講料金と講義やテキストの質の良さを売りにしていますが、合格率や合格者数は公開されていません。
LEC公認会計士講座の合格率を2つの要素から推測
LEC公認会計士講座の合格率がどの程度なのかが分からないと決め手に欠ける、と不安な方もいるかと思いますので、合格率を次の2つの要素から推測してみましょう。
【要素1】そもそも公認会計士の合格率はどれくらい?
金融庁に置かれている「公認会計士・監査審査会」のホームページに、各年度の公認会計士試験のデータが公開されています。
そのデータをもとに直近の4年間の短答式試験の合格者数と合格率、論文式試験の合格者数と合格率、最終合格率は次の表のようになります。
年度 | 短答式試験 | 論文式試験 | 最終合格率 | ||
---|---|---|---|---|---|
合格者数 | 合格率 | 合格者数 | 合格率 | ||
2018年 (平成30年) |
2,065人 | 20.4% | 1,305人 | 35.5% | 11.1% |
2019年 (令和元年) |
1,806人 | 17.1% | 1,337人 | 35.3% | 10.7% |
2020年 (令和2年) |
1,861人 | 16.5% | 1,335人 | 35.9% | 10.1% |
2021年 (令和3年) |
2,060人 | 16.8% | 1,360人 | 34.1% | 9.6% |
4年平均 | 1,948人 | 17.7% | 1,344人 | 35.2% | 10.4% |
この表から、短答式試験の合格率は4年平均で17.7%、論文式試験の合格率は4年平均で35.2%、最終合格率は4年平均で10.4%であることが分かります。
ご存知のように、公認会計士試験の短答式試験には受験資格がないため誰でも受験することができます。
学習を始めたばかりの方が「実力だめし」で受験することもあり得るため、比較的合格率は低くなる傾向にあると考えられます。
一方、論文式試験は短答式試験合格者と短答式試験免除者のみが受験可能なため一定以上の知識を持った方が受験しますので、割と高い合格率になると考えられます。
以上のことから、公認会計士試験の最終合格率は約10%程度であることが分かります。
<要素2>他社の公認会計士講座の合格実績から合格率を予想してみる
公認会計士予備校の中で合格者数を公開しているのは、CPA学院、大原、TACで、非公開なのはLEC、クレアールです。
直近4年間の合格者数と合格者占有率を表にしてみると次のようになります。
LECは「その他」の中に含まれます。
※以下表において上段は合格者数、下段は合格者占有率
年度 | 合計 | 内訳 | |||
---|---|---|---|---|---|
CPA | 大原 | TAC | その他 | ||
2018年(平成30年) | 1,305人(100%) | 223人(17.1%) | 486人(37.2%) | 357人(27.4%) | 239人(18.3%) |
2019年(令和元年) | 1,337人(100%) | 357人(26,7%) | 470人(35.2%) | 360人(26.9%) | 150人(11.2%) |
2020年(令和2年) | 1,335人(100%) | 359人(26.9%) | 399人(29.9%) | 401人(30.0%) | 176人(13.2%) |
2021年(令和3年) | 1,360人(100%) | 510人(37.5%) | 397人(29.2%) | 289人(21.3%) | 164人(12.0%) |
4年平均 | 1,334人(100%) | 362人(27.1%) | 438人(32.9%) | 352人(26.4%) | 182人(12.5%) |
ここで注意すべきなのは、LECでは他の資格試験では合格者数を公表しているのに対して、公認会計士試験だけ非公開としている点です。
つまり、LEC公認会計士講座の合格者数が少ないため意図的に非公開にしている可能性があるということなのです。
なお、クレアールも合格者数を公開していませんが、開講している全ての資格試験の合格者数を非公開としているので、公認会計士講座だけ非公開としているわけではありません。
この表から分かることは、大手予備校3校が合格者全体の80~90%を占めているということですが、LECは受講者数が少ないため合格者占有率も低くなっている可能性があります。
講義やテキストの質は大手と比較して遜色ないが、会計分野では比較的後発の講座であることが懸念点
LEC公認会計士講座は高コスパが大きな特徴で、講義やテキストの内容や質では大手予備校と比較してあまり遜色はありません。
そのため、講義やテキストの内容や質に起因して合格率が低くなることは考えにくいのですが、会計分野では後発講座になりますので、ノウハウの蓄積などが他の大手予備校よりも少なく合格率が低くなる要因になっている可能性が考えられます。
2つの要素からLEC公認会計士講座の合格率は10%後半と推測!
記事中で紹介した公開データから、LEC公認会計士講座の正確な合格率を算出することはできませんが、LECが後発講座であり今後受講者を増やしていこうと考えていることなどから考えると、合格率は全体平均の10%を上回っていることは間違いないと推測できます。
このような点を勘案して、公認会計士KOYAMとしてはLEC公認会計士講座の合格率は10%後半と予想します!